


「コップってなんだっけ?」
シンプルな問いかけから、子どもと一緒に想像を広げてみたら、夜の読書がとても楽しい時間になりました。
途中から出てくるスプーンの場面では、
「これ、どこになおす?」と考え始めたら、子どもたちも次々に自分の意見を出してくれて…。
そのやり取りが面白くて、思わず一緒に笑ってしまいました。
本の紹介
今回は、デザインオフィスnendoを率いる、佐藤オオキさんの『コップってなんだっけ?』(ダイヤモンド社)。
「コップってそもそも何?」という私達の身近にあるものを出発点として、
形を変えたり、役割を入れ替えたりしながら、当たり前を疑う楽しさを伝えてくれます。
デザインって“見た目を整えること”じゃなくて、
「問い直すこと」から始まるんだな、というのも面白い気づきでした。
絵本ということもあり、優しい言葉とイラストで描かれていて、こどもと一緒にたのしむのにもぴったりでした✨️
子供の反応
子どもたちの反応はとても新鮮でした。
ある場面では、娘がこんなことを言ったのです。
「え?でもこんなふうに切っちゃったらさ、もういっこのほうはコップにならないよね?どっちも穴あいちゃうもんね??」
大人だと「発想が広がる!」と楽しんでしまいがちですが、子どもは真剣にツッコミを入れる。
その視点が逆に新しくて、こちらも「たしかに!」と考えさせられました。
暮らしの中の「◯◯ってなんだっけ?」
本を読んでいて思い出したのは、自分が普段している“再解釈”です。
- はぶらしを、掃除道具や絵の具の道具にする。
- 陶器の鉢を、折りたたみ傘立てに使う。
本来の用途から外れても、そのものの形や性質を見直せば、新しい役割が生まれる。
あなたの身の回りの『〇〇ってなんだっけ?』はなんですか?
🧊実は、世界には「陶器の壺🍯」を冷蔵庫として使う文化もあるそうです。🧊
電気を使わずに保存できる“エジプト式冷蔵庫”。
こういう再解釈の力を知ると、「コップってなんだっけ?」の問いかけが、ぐっと身近に感じられます。
最近だと、Eテレ「それでもヒトはモノをつくる」(2025/9/21)でも放送されていました。
*エジプト式冷蔵庫(Zeer Pot)のしくみ
電気を使わないのに、野菜や果物を数日〜数週間保存できることもあります。
二重構造の陶器の壺を使います。
大きな壺の中に小さな壺を入れ、その隙間に砂を詰め、水で湿らせておきます。
水が砂から外側の壺に向かって蒸発する際に「気化熱」が奪われることで、中の小さい壺がひんやり冷えるしくみ。
親子で読む楽しさ
この本は、大人が読んでも発想の幅が広がりますが、子どもと一緒に読むともっと面白いです。
「じゃあ、お皿は?」「ランドセルは?」と次々に話が広がり、親子の会話がどんどん豊かになっていきます。

発想の根底にあるもの—— nendoのEXPO 2025 日本館
『コップってなんだっけ?』の発想は、nendoが手がける大きなプロジェクトにも通じています。
“EXPO 2025 日本館”―佐藤オオキさんはこちらのパビリオンの総合プロデューサー/総合デザイナー。
2025年大阪・関西万博の日本館では、「ものは役目を終えたあと、形を変えて別の役割を得る」という“循環”をテーマにしています (nendo.jp)。
この本が出版されたのが2018年。小さな“コップ”の問い直しと、巨大な“日本館”の問い直しがつながっていることに、読んでいて思わず震えました。
あとがき
デザイナーの方の絵本って、おもしろそうかも。。
そう思って手に取ったのが始まりでした。こどもたちのアタマはとても柔軟です。
小学1年生は自分が思いついたことをどんどん話してくれますが、3年生くらいになると、自分の意見をいうことがちょっとはずかしいと感じ始める頃でもあります。
「どんなアイデアでもいいんだよ。話してごらん。」
そうすると小学3年生の長女も「私はこういうのがいいとおもうな〜」なんて話しはじめてくれました。
筆者の佐藤さんも、お子さまが思いついた変なアイデアもどんどん歓迎してあげてください、とおっしゃっています✨️
日常の中で「当たりまえ」と思っていることを問い直すと、暮らしがちょっと楽しくなります🌿✨️
『コップってなんだっけ?』は、そのことを親子で体験させてくれる一冊でした。
👉 あなたの身の回りにも、きっと「コップってなんだっけ?」があるはず。
ぜひ楽しんで、探してみてください✨️☕️✨️
